僕が西加奈子の作品を愛してやまない理由
こんにちは。アマチュア読書家のパプキン(@pump_bloger)です。
僕は本を年間100冊以上読んでます。これが多いか少ないかはけっこう微妙だと思うんですが、まぁ中学生にしては上等ですよね。たぶん。
さて、そんな僕が大好きな小説家のひとりが、今回紹介する 西加奈子さん です。
今まで読んだ小説家の中で一番好きと言っても過言ではないかもしれない。それぐらい大好きです。
ってなわけで、僕が西加奈子の作品を愛してやまない理由を、自分なりに考えてみました。
前置き: 小説家・西加奈子とは?
経歴とかをざっくり説明します。
西加奈子(にし かなこ)。1977年5月7日産まれ。どうでもいいですが誕生日僕と20日違いです
イラン生まれ、エジプト・大阪育ちという変わった経歴を持っています。
2004年に「あおい」でデビュー。その翌年には「さくら」が20万部を超えるベストセラーになりました。
2014年の「サラバ!」は、アメトーク!読書芸人特集でも紹介され大反響。又吉直樹さん、朝井リョウさん、椎名林檎さんなど、たくさんの著名人から支持を得ましたね。
2018年3月2日には新作「おまじない」が出版されました。
海外・異文化の新鮮さがビシビシ伝わってくる
西加奈子さんの作品では、主人公が海外に行ったり、外国人と出会ったり、とにかくいろんな形で「外国」「異文化」が関わってきます。
西加奈子さん自身が幼少期は海外で過ごしていたので、その経験が生かされているんでしょうね。
それらを読んでいると、海外・異文化がとてつもなく魅力的で興味深いものに思えてくるんです。
例えば「こうふく あかの」。
妻の浮気が発覚したことをきっかけに、みるみるみじめになっていく会社員の主人公。その主人公が、自分の妻が浮気をした国・バリ島に行き、そこの「生命臭さ」を感じる、というシーンがあります。
ほんの短いシーンなんですが、黒人特有の性に対してあけっぴろげな、ある意味下品だと言われてしまうかもしれないむき出しの雰囲気を「生命臭い」と表現したことに感銘を受けました。
黒人は「生命臭い」。こんなにも適確で魅力的な言葉があるとは思いませんでしたね。
それと、外国人の登場人物も変人が多くておもしろいです。例えば「ふくわらい」。
主人公が出合う盲目の外国人(正確にはハーフ)は、周りから疎まれるぐらいしつこくて直な、子供のような大人です。
自分の欲求はストレートに口に出すし、そんな自分を少しも恥じていない。むしろ堂々たる姿で欲求と向かい合っています。
シンプルに言うとうざい。面倒臭い。でも憎めないんです。少なくとも「こんな知り合いがいても悪くはないかもな」ぐらいには思えます。
どんな人間も、西加奈子さんが描くと魅力的になっちゃうんですね。
まとめると、西加奈子さんの作品を読むと絶対に「海外楽しそうだ!!」「外国人の友達楽しそうだ!!」って思ってしまうということです。
僕が海外留学に興味を持ち始めたのも、西加奈子さんの作品がきっかけ。英語はまだまだ勉強中ですが、今から楽しみにしています。
救われてないようで救われるラスト
どういうことかっていうと、「状況は変わらない(むしろ悪くなる一方)だけど、気持ちは軽くなる」ラスト。ということです。
例を出さないとわかりにくいかもしれません。
「サラバ!」の主人公は、学生時代はモテモテのプレイボーイ。嫌われ者の姉を心底馬鹿にしていました。
それがいつの間にか、形だけの恋人には浮気さえ、本当に好きな人は友達と付き合い始め、姉は幸せな結婚生活を送っているという、一人みじめなハゲかけ30代に。
そこからもがき苦しみ、小説家としての人生を歩み始めるところで物語が終わります。
新しい恋を始めるわけでもないし、小説家として成功したわけでもない。相変わらず傍から見ればみじめなハゲかけ30代ですが、確実に救われています。
葛藤を乗り越えた先に得られたものはただの「小説家としての人生をスタートさせた自分」です。でもそれだけで主人公を救ってあげられる。それが凄い。
過去にも記事にした「舞台」はもっとわかりやすいですね。
ニューヨークに旅行に来た主人公は、いきなり盗難にあって荷物を何もかも失ってしまいます。
異常なくらい自意識過剰な性格で、助けも求めず平然を装っていましたが、手持ちのお金は増えるわけでもなく、みるみるうちにみすぼらしいホームレスのような姿に。
そんな姿になって初めて、自意識を捨てられたり、普段なら気にもしなかったようなことを考え出したり、序盤でとてつもなくマズく感じたブレックファストが、めちゃくちゃ美味く感じるようになったりします。
これも外見だけ見ると何も解決していません。恥ずかしいという理由で盗難届を出さず、貧乏な臭いヒゲ野郎になるというとんでもないマヌケです。
でも主人公は確実に成長している。作中、飢えで苦しむ主人公が「悟りすら開けそう」と考えていたほどですし、人生が大きく変わった...かははっきりせずとも、何物にも代えがたい、とてつもない経験ができたのは間違いありません。
自意識過剰もほとんど無くなっていきますし、まさに「状況は変わらない(むしろ悪くなる一方)だけど、気持ちは軽くなる」ラスト。こういう救われ方もあるんだ、ってことに気付かされます。
西加奈子さん自身のことを知ってますます好きになった
もうだいぶ前の話なんですが、テレビ番組で西加奈子特集があったんです。僕はそこで初めて西加奈子さんのインタビュー映像を見ました。
かなりアーティスト気質で、表情が豊かで、生き生きとしていたところが印象的でした。何事にも全身全力で立ち向かっているようなイメージ。
そして「文章にも絶対に雰囲気というものがある」と語っていたところがね、衝撃というか、おおっ!て思わされて。
文章を本気で愛してらっしゃるんだなぁと、心底感じましたね。
まぁ所詮はテレビ越しで見ただけなので、まだ謎に満ちたところがいっぱいある人ですがwいつか生でもお会いしてみたいです。
そんなこんなで今回はおしまい。
みんなも西加奈子読もう。絶対おもしろいから。