VIC-SGN「Steve Gaddシグネイチャーモデル」スティック・感想レビュー。
VIC-SGN (Steve Gadd シグネイチャーモデル)
- 材質 : ヒッコリー
- チップ : ナイロンチップ
- サイズ : 14.0 × 400 mm
サイズ自体は標準的ですが、やや重いのが特徴。
ちなみにこのSGNというのは、「Steve Gadd Nylon」の略。
使ってみた感想
不思議なスティックでした。
まず、重たいくせに重心が手前側にある。
重心が先の方にあった方がスティックを振ったときの勢いは大きくなり、パワーも出やすくなります。逆にこのスティックのように重心が手前側にあると、勢いを止めやすい分、スティックの先をコントロールしやすくなります。
つまりこのスティックは...せっかく重たいのに、その割には激しいプレイがしにくいスティックということになるのです。
パワーヒッター向きなのか繊細なドラマー向きなのかさっぱり分からない。もちろん、激しいプレイもできなくはないのですが。
そして、チップがナイロンで出来ている。
普通はウッドチップといって、木でできたものが多いです。プロドラマーも、「ごく稀に使うとしても、基本はウッドチップ」という人がほとんど。
ナイロンチップを好んで使うガッドは、プロの中でもかなり異色な存在と言えます。ヘンなドラマーですね。
最後に...肌触りがなんか気持ちいい。そしてデザインがかっこいい。
べったりコーティングしているということがないので、木の感触がしっかりと残っています。
僕が最近Jojo Mayerモデルのスティックを多用してるせいかもしれないですが、とにかく触ったとき、木の心地良さを感じる。
そしてカラーが黒色。男らしいというか、頼れるというか...まぁかっこいい。
スティックのメリットと、ガッドのプレイの秘密
さて、ここまで読むと「ガッドのステッィクってメリット無くね...?」なんて思われてしまうかもしれない。
ガッドの素晴らしいプレイの裏には、実はスティックが大きく関係している。
ドラマーの神様とも呼ばれるSteve Gadd。ドラミングの特徴としてよく挙げられるのが、その「存在感」です。
小さな音量でも不思議と存在感を損なわないプレイ....ちょっとここでスティックの特徴を思い出してみてほしい。
小さく繊細に刻めるよう重心が手前にありながら、スティックの重みで音に重厚感が出る。
金物(ハイハット、シンバル)を小さく刻んでも、ナイロンチップのおかげではっきりとした明瞭な音が出る。
そう、スティックがガッドのプレイをサポートしているのです。
ちなみに、ガッドはこのスティックが開発されたとき、「自分とスティックが一体になっているように感じた」と話したらしいです。
ガッドにとってこのスティックは、自分のプレイに欠かせない物になっているようですね。
このスティックを試してほしい人...
- ジャズやフュージョンなど、繊細なドラミングをしたいドラマー
- 金物系できれいな音を出したいドラマー
逆にロックなど、速くて音量も必要になる、ストレートなドラミングには向いていないと思います。
使いこなすのは難しいですが、紅一点の印象に残るようなスティックでした。
おしまい。