世界に誇れる!日本のおすすめインストバンド3つ紹介
toe
日本のポストロックの王者とも言えるバンドです。
うねり絡み合うギターとベース、複雑かつ個性的なドラム、幻想的でエモーショナルなサウンドは、他のインストバンドを圧倒。
その演奏力はライブの質でもわかる。見事な高揚感を作り上げるライブパフォーマンスには、空気をも音楽に変えてしまう不思議な魅力があります。
「孤独の発明」は、彼らの楽曲の中でも特に高い人気を誇る曲。YouTubeには世界各国からカバー動画があげられています。
しっとりとした溶け込むような音色が特徴。聴く方もとろけてしまうような気持よさです。
注目してほしいのは1:12~。ドラムがいったん止んだと思ったら、間髪入れずに再びカウントしてから入るとこ。息を飲む美しさ。
曲の途中で、それもテンポが変わるわけではなく、カウントをフレーズとして使うというアイデアも素晴らしいと思います。
toeは一応インスト曲が中心ですが、ボーカルの入る曲もたまにあります。例えば「グッドバイ」。
ポストロック界でのtoeの地位を不動のものにした、toeの代表曲であり、toeを語る上で避けては通れない曲でもあります。
ガラス細工のような繊細さと透明感、そしてじわじわと盛り上がるときの、蝶のように舞い上がるような、でもちゃんと地面に根を張ったような、力強い高揚感。
もうなんというか...あれだ。CD買えよ。
そしてこのtoeは、アジアツアー、EUツアー、USツアーと、世界中でライブを行っています。
そう、「世界に誇れる...」という記事タイトルは、釣りや誇張なんかじゃない。まさに世界に誇れるバンドなのです。
というかむしろ、音楽番組がアイドルとジャニーズで埋め尽くされている日本よりも、音楽に対する理解と情熱の高い海外の方が人気があるといっても過言ではないでしょう。
SAKEROCK
「もっと早く知りたかった」の声多数。残念ながら解散されてしまいましたが、今でも多くのファンが生まれ続けるバンドです。
星野源がメンバーだったことで知られています。星野源の原点にあるのがこのSAKEROCKというバンド。
マリンバやらトロンボーンやら、楽器と言えるのか分からない口笛やら、もう名前すら知らないどこかの民族楽器やら、とにかく多彩なサウンドが特徴。
まずはライブ映像を見てほしい。
序盤は陽気な雰囲気で始まる。雲みたいにのほほんとした音楽。なんだこれ酒飲んだのか酔っ払ってんのか?とツッコミたくなる陽気さ。
2:03~は、その陽気さと一転して静けさと哀愁が漂う。それでも出てくる感想はやっぱり「酔ってんのか?眠っちゃうのか?」だ。
そして3:02~、思い出したかのようにちゃらんぽらんになる。ドラムとコンガの軽快なリズムから入るのもまた楽しすぎる。
そこから盛り上がりは最高潮へ。テンポは速くなる。みんな遊び始める。アドリブソロも入る。
お前らめちゃくちゃだよ!!最高だな!!って感じがしません?
SAKEROCKはこんなバンドだ。悪ふざけバンドなのだ。
それも体育会系の「お前ら巻きこんじゃうぜー!ww一緒に暴れようやー!ww」なんていう悪ふざけではない。どちらかというと体育会系の絡みにうんざりした文化系の、「俺ら勝手に好きなようにやっとくから!!」みたいなふざけ方だ。
テンポが速くなれば楽しい、フレーズいじりだしたら楽しい、アドリブでソロやったら楽しい、という純粋な子供のように楽しさを追及する姿勢もいい。
反抗期の男の子みたいな、愛嬌すら出てくる悪ふざけ。いいじゃないか。楽しいじゃないか!
これは「ホニャララ」という曲の、公式MV。
どうでしょう。あまりにも狂ってはいないだろうか。電気グルーヴ的な狂気を感じる。
言いたいことはたくさんあるが、そもそも音楽がおかしい。メンバーの頭の中に溢れ続ける「パッパラパー」を、そのまま楽譜に書き起こしたよう。
そして映像。最初によく分からないテレビ映像っぽいのを流した理由は誰にもわからない。そこから例のホニャララが始まる。もうやりたい放題である。
何よりも頭がおかしいのは、これがSPACE SHOWER Music Video Awardsの「BEST CONCEPTUAL VIDEO賞」を受賞したこと。恐怖のMVに毒されて審査員の目が腐ったとしか言いようがない。
…他のバンドに比べて、なんとも口汚い言葉でSAKEROCKを表現してしまいました。
綺麗な言葉は使っていないものの、「悪ふざけバンド」も「狂ってる」も全て褒め言葉です。
何だかんだ言ってますが、SAKEROCK大好きです。
PHONO TONES
メンバー紹介から入ります。
ベースの猪股ヨウスケ、ドラムの伊地知潔、キーボードの飯塚純、ペダルスティールの宮下広輔。
もう一度言いましょう、ペダルスティールの宮下広輔。
ペダルスティール、です。
ペダルスティールという楽器をご存じでしょうか。僕はこのバンドで初めて知りました。
メンバーにギターが居なくて、代わりにこのペダルスティールという異色の楽器を持ち込んでくるあたり、かなりぶっ飛んでいると言えます。なんて思い切った発想なのだろう。
そんな珍しいバンド編成も、このバンドの魅力のひとつです。
曲紹介に入ります。PHONO TONESの代表曲、「tobira」。
非常にプレーンで頭にすっと入ってくるような音楽ですね。
ベースとドラムの基盤に乗っかる、キーボードとペダルスティールの掛け合い。この掛け合いがそれはもう素晴らしい。互いがメロディーに互いがサブメロディーになり、流れ星のように一直線に流れていく。
互いに切磋琢磨してきた、ライバルどうしの少年のようです。
そして何よりも強調して書いておきたいのが、ドラムス伊地知潔。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのドラマーでもある伊地知潔。学生時代にマーチングで鍛えたスティックコントロールと、それを生かした高い演奏技術ももちろんだが、何よりも称賛すべきは彼の演奏スタイル。
決してメロディーの邪魔をしない。いい意味で耳に残らない、淡泊なビート。金物類の扱いも天下一品。
音楽の地盤のようなものを、完全にドラムにゆだねられる。どれだけ重さをかけても沈まない、どれだけ暴れても崩れない、ゆるぎなき地盤です。
何を隠そう、僕はASIAN KUNG-FU GENERATIONことアジカンの大ファンなのです。そのアジカン愛の半分は伊地知に捧げているつもりです。
ともかく、伊地知潔は凄いドラマーなのです。
「Her Red Bicycle」。彼女の赤い自転車。素朴で普遍的なタイトルが素敵。
「tobira」のスタイリッシュさとは打って変わって、随分とキュートな音楽です。
何でもない日常と、そこから生まれる、小さいけれどかけがえのない恋心。その恋心の愛しさを存分に味わえる。
歌詞がなくとも愛を語ることはできるのだ!
この曲はキーボードがメロディーで、ペダルスティールは伴奏やサビメロディーを担当しています。
そのキーボードの音色の可愛らしさが、なんとも言えない愛くるしさを持つ。音が高く丸く、「クォーン」という鳴りが、恋をしたときのキュンキュンを連想させます。
アップテンポで、ビートの刻み方がころっと変わるのも、恋をした人のころころと変化しやすい心情が現れているような気がしてお気に入りです。
そして映像も可愛らしい。陳腐なストーリーに親近感すら感じる。
...ベタ褒めしすぎでしょうか。
一度いいところを見つけると、どれもこれもがいいところに見えてくるのが僕の悪い癖です。
インストに精通しているわけでもないのに、自分の知っている範囲だけでベスト3を決めてしまいました。
他に良さげなインストバンドを見つけたら、また記事にしていこうと思います。
おしまい。