ここだけの話。

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音楽、本、その他いろいろな記事を書いているつもり。

宗教・カルト要素があれば小説と漫画はなんでもおもしろくなる説

記事ネタが見つからなかったので、たった今思いついた話をします。

宗教、カルト要素がある小説・漫画って、ハズレ無しじゃねぇ??

 

例①: 中村文則「教団X」

タイトルからしてカルトっぽい。

あらすじ

突然自分の前から姿を消した女性を探し、楢崎が辿り着いたのは、奇妙な老人を中心とした宗教団体、そして彼らと敵対する、性の解放を謳う謎のカルト教団だった。

二人のカリスマの間で蠢く、悦楽と革命への誘惑。四人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。

神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者の最長にして最高傑作。 

 

衝撃的な世界観とエロさでした。

物語というよりは自己啓発本に近いくらい、読めば人生を変えられる可能性すらある作品です。

抵抗もできずにころりと人生観を変えられてしまうところは、自己啓発本よりもたちが悪いと言ってもいいぐらい。

 

ちなみにこの本、僕は最高におもしろいと思ったが、Amazonを見ると驚くほどの低評価を。

ひろたつさんのブログでも言及しています。この人の書評はいつも魅力的なので、ぜひ見てほしいところ。

『教団X』がAmazonで低評価になっているのが嬉しくて堪らない - 俺だってヒーローになりてえよ

 

例②: 西加奈子「サラバ!」

雑多なデザインで彩られたカオスな表紙が目印。

あらすじ(下巻)

本年度最大の衝撃と感動。

一家離散。親友の意外な行動。恋人の裏切り。自我の完全崩壊。
ひとりの男の人生は、やがて誰も見たことのない急カーブを描いて、地に堕ちていく。

絶望のただ中で、宙吊りにされた男は、衝き動かされるように彼の地へ飛んだ。

 

この本も異常なくらいおもしろい。僕が西加奈子にハマるきっかけとなった本ですね。好きな作家ベスト3に入るくらい、僕は西加奈子の作品が大好きです。

物語と宗教が細やかに密着し、宗教の存在意義、宗教が人々に与える影響を深く考えさせられる物語。

教団Xみたいなカルト宗教とは違い、もっとメジャーで現代でも多くの人に信仰されるような宗教が描かれている作品です。

 

あらすじは下巻のものを書いたけど、上巻も相当おもしろい。そして下巻に行ってから後半の堕落ラッシュからが更におもしろい。

風呂敷広げ過ぎて尻すぼみになる、という惜しい展開にさせないのは流石だとしか言いようがありません。

 

例③: 浦沢直樹「20世紀少年」

ケーンヂくん、あそびましょ。

1997年、主人公のケンヂは、突然失踪した姉の娘のカンナを養い、コンビニを営む平凡な日々を送っていたが、お得意先の一家の失踪や幼なじみの死をきっかけに、その薄れかけていた記憶を次第に呼び覚まされていく

そして世界各地の異変が、幼い頃空想した“よげんの書”通りに起こっていることに気づく。

一連のできごとの陰に見え隠れする謎の人物“ともだち”との出会いによって、全ての歯車は回り出す。

 

漫画も例外ではありません。カルトが絡むだけでテーマは急速に深くなっていきます。

あとカルトが絡むとやけに大作になる気がします。上で紹介した小説も2作品揃って分厚め、この漫画も完結までに20巻以上ですし。

それにも関わらず一気読みが苦じゃない。むしろ一気読みのあともう一度読み返したくなるレベル。

 

ちょっと残念なのが、後半になって作品が謎解きに向かうと、カルトチックな面が薄れていってしまうことですかね。

謎解きもおもしろいんだけど、やっぱり前半の衝撃には負けてしまう。導入が完璧すぎたのかな。

カルトシーンだけが読みたいのならともかく、謎解きが好きな読者なら後半も全く気にならずに読み進められるでしょう。普段ミステリを読む人にもおすすめ。

 

そもそも、カルトを描くことが難しい

まず、一般の人に馴染みがない、取材ができない。

幸福の科学程度だったらまだしも、オウム真理教レベルの教団になれば、もう取材するだけでもドッキドキでしょうね。

というかオウム真理教レベルの教団が滅多に無い。というわけで、カルト教団はほとんど自分の想像力だけを頼りに描くしかなくなります。

 

そして、宗教を描こうと思うと、それだけでどんどんと話が難しくなっていくということ。

一度宗教について真剣に考えてみてください。宗教にハマってしまうのはどんな人か。宗教はどこから始まりどのように広がりどのように衰退していくのか。なぜ人々に宗教が必要になったのか。宗教と政府の教育は何が違うのか。宗教は善なのか悪なのか。そもそも善悪というものはあるのだろうか。

あぁこんがらがってきた。

僕がパッと思いつくだけでもこれだけの疑問が浮かんでくるのだから、普段から頭をフル回転させて構想を練っていく作家や漫画家なら、なおさら深い思考ができるのでしょう。

自然と風呂敷は広がり、超大作へと繋がっていくわけです。

  

まとめ

宗教・カルト要素があればおもしろくなる、というより

宗教・カルト要素は素晴らしい作品を生み出す作家にしか描ききれないもの、ということなのではないでしょうか。

 

宗教を描くなんてムツカシイこと、僕にはできません。

おしまい。