漫画「僕たちがやりました」最終回まとめ。この物語のポントはここ!
原作金城宗幸、漫画荒木光の「僕たちがやりました」、今更ながら読んでみました。
ドラマやってたのは知ってたんですが、あんまり興味無かったんです。漫画読むのも友達の家に置いてあったからたまたま手に取ってみただけで。
そんなニワカ目線で感想を言うと、めちゃくちゃ面白いね。
というわけで、今回は「僕たちがやりました」のラストをちょこちょこっとまとめます。
なぜ最終回まとめ記事かというと、僕のブログの中で漫画最終回シリーズがかなりの好評だからです。
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というわけで、やっていきましょう。
最終巻(9巻)の内容ネタバレ
腹違いの兄弟、玲夢をナイフで殺し、パイセンは10年の懲役。
自首動画はイタズラとして削除され、4人が矢波高爆破事件の罪に問われることはありませんでした。
輪島宗十郎(パイセンの父)はこの一件をもみ消すために資産の7割を使ったんだとか。
その後10年のときをえて、トビオ・伊佐美・マルの三人は、出所したパイセンに呼び出され10年ぶりに集結。
10年後のパイセン。なんというか、感慨深いものがあります。
そのあとは4人で飯食って、ボーリングに行って、世間話して解散。
少しいざこざはありましたが、パイセンが間に入ってそれもうやむやに。
10年後のトビオ
10年後のトビオは、芸能事務所のアイドルのマネージャーとして働いています。
連子とは別れており、夏っちゃん(本名不明)と交際中。近いうちに結婚する予定のよう。
1巻でも話していた「そこそこの幸せ」を手に入れていますね。
それでもまだ罪の意識は消えておらず、通り魔に襲われたときに「殺せ!」と嘆願するシーンもあります。
ギャグ調の中に突如現れる迫力満点のシリアス描写。この漫画の見どころのひとつです。
罪悪感から逃げきれないトビオは、今度は自分から、一人で先輩に逢いに行きます。
そこでどこまでも前向きに生きる先輩の姿を見て、その言葉に励まされ、幸せを全身に感じるように。
はい、ハッピーエンド。
と思いきや、その直後に矢波高爆破事件の被害者と遭遇。
トビオは他人のふりをして走り去ります。
またもや死にたくなりますが、その意識には蓋をして、懸命に生き抜くことを決意。
「そこそこ」を生き抜こう、それでいつか耐えられなくなったら、その時は死ねばいいだけの話だろう。
そんな人生観を持つようになりました。
で、彼女との間にできた子供の名前を考えてる最中に
人が燃えているのを見て笑っていたことを思い出します。
これでおしまい。
は!?意味分かんねえよっ!!
ハッピーでもバッドでもない、トゥルーエンドですね。
10年後のマル・伊佐美
伊佐美とマルの描写は4人で再開したところだけ。ほとんど描かれていません。
マルは怪しい商売で儲けまくってます。
罪の意識は完全に無く、過去のことはすっかり忘れているよう。
伊佐美からも「腹が立つ」と言われてしまう始末。この漫画でも屈指のクズキャラです。
一方伊佐美は、昔から付き合っていた今宵と無事結婚、子供も二人産まれています。
伊佐美は4人の中で一番冷静で、自分のしたことや自分の嫌な部分と真剣に向き合ってきたようなキャラですね。
かなり読者に近いというか、共感を得やすいのかなとも思います。人間の狡さを認めてしまっているところが好感。
10年後のパイセン
出所したパイセンは、なんとバイトをしながらお笑い芸人を目指します。
罪の意識はもう完全に無くなってるよう。無くなったというか、いろいろな経験を味わって吹っ切れた感じです。
「生きてんねんからしゃあないやろ?」
パイセンの描写もかなり少ないですが、このセリフに全てこめられているように思いますね。
生きてるんだから何してもいい。人殺しという足枷も全くなし。
4人の中で一番苦しみ、一番自由になった人だと思います。
この物語のポイントはマルとパイセンの違いだと思う
マルはずっと罪悪感なんて無かったんです。矢波高爆破事件で10人死んだと聞いたときも「天罰が下ったんだ!」という感じだったですし、10年後も怪しい水売りさばいて、堂々と人生を謳歌しています。
トビオのような「人殺しなのに」っていう考えも微塵もありません。
マルは自由に生きてるんです。
一方で、パイセンもまた自由に人生を謳歌しています。
例の「生きてんねんからしゃあないやろ?」という言葉にも、過去に人殺していようが何しようが関係ねえ、みたいな考えが見えますね。夢見ようが何しようが勝手だろ、生きてるんだから。
でも、マルとパイセンって絶対的な差がありますよね。
マルは10人死んでも当然の報いだと思っていて、友達の金盗んで、風俗に行きまくって全部消化して、仲直りしたと思ったら最後の最後で一番最初に逃げ出して、そのあとガレージに余っていた金また盗んでる。
パイセンは10人殺して逮捕されても仲間のことは口を割らず、親父に愛されてないことを知って、愛してもいない女で童貞捨てて、異母兄弟殺して一人だけ刑務所で10年。
そんなマルとパイセンの「自由」は、圧倒的に違うんですよ。
ただ何も感じない自由と、全部乗り越えらて得た自由。
サラリーマンが習慣で言う「いただきます」と、家畜を育て殺して売るのが仕事の人の「いただきます」。これが違うのと一緒です。
この物語の一番のミソはここにあるんじゃないかと思います。作者が伝えたかったこと、というと大げさがもしれませんが、作者が描きたかったのはこれなのではと。
最後の笑顔は意味不明?
さて、最後まで読んだ人が一番気になってるのは最終ページでしょう。
この笑顔、どういう意味?
僕が思うに、これは作者がハッピーエンドで終わらせないために付け加えたものなんじゃないかと思います。
この描写がないと、普通にいい感じなんです。トビオに子供が生まれて、「あぁ幸せだなぁ、この幸せを生き抜いていこう」でEND。ENDらしいEND。
でもそれが嫌だったんじゃないでしょうか。10人殺して無罪の男にいい感じに終わらせるわけにはいかない。ということで、後味の悪い終わり方に持って行ったと。
ネットを見てると多い意見が、「そこそこの幸せを思っていたけど、心のどこかで非日常を望んでいたことを描きたかった」というやつ。
しっくりくるような、こないような...
「僕たちがやりました」は超名作
僕が最近読んだ漫画の中でも、一番の衝撃作です。
どこまでも急展開ばかりで、先が全く読めない。一気読み必至。
この記事では伝えきれないおもしろさがたくさんあるので、ぜひ読んでみてください。
おわり。
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