ジャズのスタンダードナンバー『Sing Sing Sing』紹介 + ドラムソロ・アレンジ解説まとめ
たくさんの人にカバーされすぎて、どの動画を貼ろうか迷った結果
楽譜が販売されてるやつの中で一番凄そうなのを選びました。
Sing Sing Singの特徴
「シング・シング・シング」(Sing, Sing, Sing)は、1936年に "King of the Swingers" と語られる歌手・トランペット奏者のルイ・プリマによって作曲された、スウィング・ジャズの代表曲の一つ。
ジャズとしても、吹奏楽やビッグバンドとしても、スタンダードナンバー、超定番鉄板曲です。
どれくらい定番かというと、カラオケでいうリンダリンダくらい定番。
Wikipediaに載っているこの曲の特徴は
- トロンボーンとトランペットの掛け合いによる躍動感あるイントロ (0:17~)
- サクソフォーンとトランペットが奏でるマイナーコードにもかかわらずダンサブルで華やかなメロディ (0:28~,その他至るところに)
- 延々と続くドラムソロ (とくに長いのは2:26~,その他至るところに)
- ベニー・グッドマンの影響もあってクラリネットのソロでもお馴染み (1:08~)
こんなところ。曲全体の特徴として付け加えておくなら
- 曲調が落ち着つくところでも続く、小気味のいい陽気な雰囲気
- 緩急がわかりやすく、曲として盛り上げやすい
こんな感じでしょう。
もちろんこれはひとつの例なので、編成によってはメロディがユーフォニウムになったり、サクソフォーンがソロをしたり、長いドラムソロで曲を締めたりと、いろんなパターンがあります。
用語解説: スウィング・ジャズとは?
「スウィング・ジャズの代表曲」?そもそもスウィング・ジャズってなに?って話。
1930年代後半から40年代初めに流行したジャズのスタイル。
多くビッグ-バンドで演奏され、歯切れのよいスイング感を特徴とする。
ジャズって「ソロが地味すぎて初心者には楽しめない」「即興演奏とか凄いのかよくわからない」みたいなイメージが多いと思います。
それに対してスウィング・ジャズは、『全体の演奏、アンサンブル』を重視したスタイル。
だからソロも淡々として短い。ジャズを全く知らない人でも楽しめる音楽です。
ちなみに「スウィング感」というのは、ジャズ特有のリズム感みたいなもの。
噛み砕くと「リズムが跳ねる」感じに近いです。"タカタカ" が "タッカタッカ"になる感じ。楽譜が読める人にしかわからない言い方をすると、三連符中抜き。
といってもかっちり三連符中抜きで、というわけではなくて、その辺の跳ね具合はミュージシャンのさじ加減にもよります。
うーん、難しい。解釈も人によってまちまちだし、無難な言い方をすれば「ジャズ特有の人間臭い雰囲気」になるんでしょうか。
完全に個人の感覚にゆだねられるところです。
用語解説: スタンダードナンバーとは?
ジャズで多く使われる言葉。
「スタンダードナンバー、超定番鉄板曲である」と前述しましたが、実はもう答えが出てる。
スタンダードナンバー = 定番曲 です。
もっと詳しく説明すると「多くの人にカバーされている」曲。
ロックやポップスがオリジナル曲の演奏が多いのに対して、ジャズやクラシックは既にある楽曲のカバー演奏が多いです。
その中でもカバー定番になったらスタンダードナンバー、という扱いになりますね。
ベニー・グッドマンの演奏で一躍有名に
スウィング・ジャズを代表するクラリネット奏者、ベニー・グッドマンの楽団が演奏したことで、この曲の人気は爆発的に。楽団の代表曲にもなりました。
ちなみにベニー・グッドマンは「King of Swing(スウィングの王様)」とも呼ばれています。
(ルイ・プレマの「King of the Swingers」とキャラ被りすぎだというツッコミは無しでお願いします)
そしてベニー・グッドマン楽団を語る上で欠かせないのが、当時の看板ドラマー、ジーン・クルーパ。
シングといえばクルーパ、クルーパといえばシング。ジャングルビートとも呼ばれる独特のリズムと彼のドラムソロは、超革新的でした。
だってそうでしょ?フロアタムで「ドンドンスドンッ、ドンスドスドン、」なんてビート、普通は誰も思いつかないでしょ?
しかもデタラメに叩いたリズムじゃなくて、それが曲に綺麗にハマって何とも言えないグルーブを醸し出している。
エイトビートとは全く違ったところからビートを作る、これがどれだけ偉大なことかわかってもらえると嬉しいです。
ドラム解説・アレンジまとめ
初心者用・基本リズム解説
簡単めの基本ビートとお手軽フィルインを解説した、池脇嘉一さんの再生リスト。
初心者でもすぐに出来るよう、難易度は低めになっています。
ちなみにこの池脇嘉一さん、たぶんYouTubeで一番ドラム解説動画を出している人です。
幅広いジャンルと丁寧な説明、そして少年っぽい笑顔が魅力。初心者を対象にした動画ばかりなので、ぜひいろいろ見ていってほしい。
上級編・アレンジ解説
元吹奏楽部の黒板係さんの動画。めちゃ上手い。
基本ビートから少し離れた、楽曲全体を通しての叩き方のアレンジ例を紹介しています。
ドラムソロのアレンジが凄く素敵。
メリハリとか雰囲気の変え方とかフレージングとか、ある程度ドラムのできる人でも参考になるところがいっぱいです。
細かいところを極めていきたい人に見てほしい動画。
おまけ知識
Sing Sing Singの人気を不動のものにしたベニー・グッドマンとジーン・クルーパ。
伝説的ジャズミュージシャンの彼らは、とても"いい人"だったそう。
人種差別の強かった時代背景がありながら、ふたりは人種に関係なく団員を採用していたそうです。
ベニー・グッドマンは黒人ミュージシャンを積極的に雇った最初の人物とされているし、ジーン・クルーパはアフリカの太鼓のルーツを熱心に研究していたらしい。ドラミングも黒人的。
顔で判断するのはあんまり良いことではないですが、どっちも優しそうな顔してますしね。
ジーン・クルーパのひょうきんな表情が個人的にベストショット。
楽曲紹介よりもミュージシャン紹介っぽくなってしまいました。
今回はこの辺でおしまい。