ここだけの話。

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音楽、本、その他いろいろな記事を書いているつもり。

ネタバレ無し!全作読破した伊坂ファンの考える、伊坂幸太郎のおすすめ小説ランキング

至る所に張り巡らされた伏線と、終盤でそれらを漏れなく回収してしまう構成。

コミカルで皮肉の効いた独特なセリフの言い回し。

違う作品同士の中で共通して登場する個性的なキャラクター。

ハチャメチャな爽快感を生み出すストーリー。

 

語っても語り尽せないほどの魅力を持つ作家のひとりが、今回紹介する伊坂幸太郎です。

タイトル通りランキング形式で紹介することにしました。作品のおもしろさと、「何度でも読み返したくなるか」を基準に決めさせてもらいました。

その個性溢れる作品たちを、とくとご覧あれ。

10位: 重力ピエロ

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。

その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。

謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

 

背景は重たくとも、雰囲気はコミカルで前向き。不思議な感覚の小説。

様々なところでリンクするいくつかの出来事、それらを紐解いた先に見える真実。

秘密をかかえた家族の、少しブラックで、でもとても温かい物語です。

 

ちなみに映画化もされています。

映画の方も原作に負けないくらいおもしろいから、ぜひ見てほしい。

 

9位: 陽気なギャングが地球を回す

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。

この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!

奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!

 

伊坂幸太郎の名を文学界知らしめた人気作。それぞれが特殊な能力を持った、四人の銀行強盗犯が主人公。

奇抜な設定、息もつかせぬ展開、衝撃のラストに、あなたも伊坂中毒になること間違いなしの作品です。

陽気なギャング、という響きがすでに楽しい。

 

そしてこの陽気なギャングたちの活躍は、一作品にとどまらない。

映画化はもちろん、続編まで出て、陽気なギャングは晴れて「陽気なギャングシリーズ」に昇格したのです。

現在、全部で3作品が発表されています。

 

 

8位: オーデュボンの祈り

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コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。

江戸以来外界から遮断されている“荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。

次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?

 

人語を操り未来の見えるカカシ、というこれまた奇妙な設定ですが、そんな非現実的なことも気にならなくなってしまうくらい惹きこまれてしまう物語。

そして過去にないくらい緻密な伏線回収ラストが凄すぎる。ピタゴラスイッチみたいですよ。

パズルのピースが次々とハマっていくような、その恐ろしく連鎖的などんでん返しは圧巻の一言に尽きます。

 

7位: グラスホッパー

復讐を横取りされた。元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。

鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。

それぞれの思惑のもとに――「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。

疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!

 

この小説の特徴が、三人の視点で描かれる構成。

それぞれ関わりの無かったように見えた三人の目線が、一斉に「押し屋」に向かうとき、運命の歯車は回り出します。

ラストに向かうにつれて3人の距離が縮まっていく不思議な高揚感は、読まない人には決してわかるものでは無いでしょう。

 

伊坂幸太郎の作品はなぜかよく映画化される。グラスホッパーは比較的最近になって映画化されたから、記憶に新しい人もいるかもしれません。

ちなみに続編もあります。前作とはまるっきり別の話になりますが、前作の登場人物も多数登場。こっちも面白かったので、グラスホッパーが気に入った人にオススメ。

 

6位: 終末のフール

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。

仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。

家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。

 

伊坂の得意とする、リンクする登場人物を思う存分に楽しめる短編集。

短編集なだけあってたくさんのキャラクターが登場しますが、誰もが漏れなく魅力的。個性と人間味の溢れるその姿に好きにならないはずがない。

また、各短編のタイトルが「終末のフール」「太陽のシール」「演劇のオール」というように、綺麗に統一されています。伊坂幸太郎の遊び心が窺えますね。

個人的には「鋼鉄のウール」が一番のお気に入り。かっちょいい。

 

5位: ゴールデンスランバー

仙台での凱旋パレード中、突如爆発が起こり、新首相が死亡した。

同じ頃、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に巻き込まれているから逃げろ」と促される。折しも現れた警官は、あっさりと拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣を着せられているようだ。

この巨大な陰謀から、果たして逃げ切ることはできるのか?

 

本屋大賞も受賞した、伊坂幸太郎の出世作。

首相暗殺の濡れ衣を着せられた主人公が警察から逃げきる、という王道を行く物語。

学生時代のかつての仲間を頼りに人生を繋いでいく、一度読むと止められない、一気読み必須の逃亡劇です。

 

しつこいようですが、この小説もやっぱり映画化されてました。堺雅人、香川照之、劇団ひとり、濱田岳という豪華キャスト終結。

映画も見た人間の感想としては、原作の方が断然面白かったです

 

4位: 死神の精度

CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。

一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。

 

伊坂ファンならば誰もが認める傑作。伊坂幸太郎特有の「真面目にユーモア」が満遍なく散りばめられた短編集です。

主人公が死神、という突拍子もない設定にも関わらず、その文章は期待を裏切らない。むしろ期待を遥かに超えたおもしろさ。

死神の何気ない判断が時を越えて奇跡を起こす、そのさりげなく小さなラストは見逃せない。

 

続編もあります。続編は長編になっているので、オチだけで言うとこっちの方が面白いかもしれない。

死神の精度だけでは物足りなかった人も、こちらをどうぞ。

 

3位: チルドレン

活字離れのあなたに効く、小説の喜び
ばかばかしくも、恰好よい、伊坂幸太郎が届ける「5つの奇跡」

「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々――。

何気ない日常に起こった5つの物語が、1つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

 

滑稽で、めちゃくちゃで、ばかばかしくて、でも格好いい。

伊坂幸太郎の良さが全部詰まった短編集です。初心者におすすめするならば、真っ先にこれが挙げられるでしょう。

いつも騒動の中心にいる、自分勝手だけど憎めない男、陣内。これを読めば誰もが「かっこいい大人」の意味を理解する。

 

続編もやはり面白い。

個人的にはまだまだ続編出してほしい爽快感。伊坂幸太郎の勢いは止まりません。

 

2位: アヒルと鴨のコインロッカー

ボブ・ディランはまだ鳴っているんだろうか?

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。

彼の標的は――たった1冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!

清冽な余韻を残す傑作ミステリ。第25回吉川英治文学新人賞受賞。

 

ファンの間でも傑作との呼び声の高い、伊坂幸太郎の代表作です。

謎だらけの人物に、奇妙なストーリーに、どこか抜けたところのある会話に、ふわふわとした気持ちで読み進めていく。そしてラストの伏線回収で、切なさがどっと流れ込んできます。

全てを知り理解してしまったことで初めて、これまでの疑問が全て切なさに転換される。その素晴らしさを味わえる物語。

そして作中で「神様の声」だと称されるボブ・ディラン。ディランを聞きたくてたまらなくなる作品でもあります。

 

例に漏れず、やっぱり映画化。

映画もすごく良い。古い映画なので随分とチープな感じがしますが、原作の雰囲気がよく出ていてとてもおもしろかったです。

 

1位: 砂漠

入学した大学で出会った5人の男女。

ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決……。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれを成長させてゆく。

自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感溢れる長編小説。

 

伊坂幸太郎の中でもちょっと扱いが軽いというか、正直、有名作代表作というわけではない。

それでも僕は、この本を一位に選びました。伊坂の最高傑作だと称される作品ですら覆せないほど、僕の中で根強い人気を誇っている作品だからです。

 

独特な魅力と輝きを放つ登場人物。彼らの中に育まれる絶対的な友情。それさえあれば他はいらないといえるほど、それらの持つ魅力は大きい。

様々な要素が入り混じったストーリーにある、二度と経験することのできない大学時代青春と焦燥。馬鹿らしくも愛すべきその青春には、誰もが思い当たるところがあるはず。

どんな人にも、どんな出来事にも、どんな青春にも、絶対に愛すべきところがある。今一度、この本を読みながら自分の青春時代を思い返してみてはどうでしょう。

 

こんな感じで今回は終わり。参考になれば嬉しいです。

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