ここだけの話。

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多趣味な学生の多趣味な奮闘記。

ショートショートの神様、星新一のおすすめ本まとめ

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本名は星 親一。1926年9月6日産まれ、1997年12月30日没。

父は星薬科大学創立者で星製薬の創業者の星一森鴎外は母方の大伯父にあたるんだとか。

裕福でなんともエリートな家庭に産まれたようだ。羨ましい。

そんな生まれ育った環境も凄いが、星新一の本当の凄さは創作活動で明らかになる。

 

ショートを書く天才

まず特筆すべきなのが、その簡素な文章だ。

星新一の作品は短編集が多い。正確に言うと、ショートショート(掌編小説)という、要するに超短い作品が多い。

そしてそんな短い話の中で見事なストーリーを作れるのが、ショートショートの神様』の異名を持つ星新一である。

 

自然な導入から入って、着々と物語が進み、それでいて最後には読者をアッと言わせる力がある。

序盤でオチを考えながら読み進めていき、そんなに複雑でもないむしろ超シンプルなはずの展開を通るのに、オチを言い当てることができない。そしてそれが快感なのだ。

純粋な「噺」としてのおもしろさがある。落語のように、話とそのオチのおもしろさで勝負してくるのだ。

 

また、作品のひとつひとつが短いということは、初心者にも読みやすい、空いた時間にさくっと読めるという良さがある。

星新一の話は非常に簡潔だ。初心者が嫌うような、変に凝った情景描写がいっさい無い。理知的な人柄が現れている。

初心者にも楽しめるので、どんな人にもオススメしやすい作家だ。

 

おすすめ本の紹介

小学生で星新一にハマり、その状態のまま何も成長せず今でもハマり続けている僕。

今回はそんな新一信者の僕がおすすめする本を何冊か紹介しよう。

 

ポイントは、

  • 初心者でも読める
  • 時間が無くても読める
  • 子供でも大人でも読める

ということだ。なんという読みやすさだろうか。

 

注意してほしいのは、

  • 文学的で緻密な情景描写は無い
  • みっちりと読み応えのある話は無い

ということだ。そういうのを期待している人はブラウザバックしてもらって構わない。

 

ロボット発明の傑作集

おなかがすいたら料理をつくり、あとかたづけに、へやのそうじ、退屈すれば話し相手に。

なんでもできるロボットを連れて離れ島の別荘に出かけたお金持ちのエヌ氏。だがロボットはしだいにおかしな行動を…。

博士の不思議な発明、発見が様様な騒動を巻き起こす。傑作ショートショート集。

僕が星新一に出会ったのが小学校5年生の頃。幼い僕の心を射抜いた本がこの「きまぐれロボット」だ。

 

小学校の図書室というものは、図書の先生とPTAによってなんとなく決められたちんまりとした本が集まっているが、その中でこの本は異彩を放っていた。

なんというか、話の短さや小ささに対して、「しょうもない」ではなく「スタイリッシュだ」という感想が出てくる、そんな感じだ。

もちろん児童向けのものはしょうもない、というわけではない。児童書は児童書なりに素晴らしいものばかりだし、子供に愛してもらえればそれは名作と言えるだろう。

ただあれだ。その辺の児童書はどうしても「小学生に読みやすいよう意識しました」感を拭えないだろ?

 

星新一は、そうじゃないのだ。話や語彙のレベルを下げた読みやすさじゃなくて、ただ簡潔にまとめられた読みやすさなのだ。読みやすさの種類が違う。

小学生の僕はこの本を読むだけで「みんなとは違うもの読んでる感」を得られたものだ。なんて薄っぺらい奴なのだろうか。

 

そんな児童のための読みやすさとは別の世界にあるこの本、子供はもちろん、大人でも絶対に楽しめるはずだ。

 

風刺をまんべんなくまき散らした代表作

スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群!!日本SFのパイオニア星新一ショートショート集。

表題作品をはじめ「おーい でてこーい」「殺し屋ですのよ」「月の光」「暑さ」「不眠症」「ねらわれた星」「冬の蝶」「鏡」「親善キッス」「マネー・エイジ」「ゆきとどいた生活」「よごれている本」など、とても楽しく、ちょっぴりスリリングな自選50編。  

 星新一といえばこの「ボッコちゃん」である。代表作も代表作、おそらく一番人気のある本だろう。本の売り上げと内容のおもしろさは関係ないが。

作者自身が厳選した、選びすぐりの50作だ。おもしろくないはずがないだろう。

 

至る所に星新一の社会風刺がきいている。ブラックユーモアの好きな意地悪い撲には大好物である。

ブラックユーモアといっても、人間がボコボコにされるような不穏で物騒な話ではない。人間の欲とかだらしのないところを、ちょっぴり突っついたような、ささやかな風刺だ。

だからこそこの風刺に傷つくこともないし、むしろその人間のだらしなさを困り顔で見守っていられるような、そんな感覚になるのだ。まるで子供の危うさを心配する母親のようだ。

 

引用のあらすじにもあるが、「ちょっぴりスリリング」というのがミソだ。

語り口はあっさり淡々としているのだけれど、そこにあるちょっとしたスパイスの虜になることは間違いなし。

5分で読める話が50作もあるのだ。暇潰しにもぴったり、忙しい社会人でも夢中になれるだろう。

 

寓話に加わる「星新一」というスパイス

『アリとキリギリス』『ウサギとカメ』など、誰でもごぞんじの寓話の世界。

語りつがれてきた寓話も、星新一の手にかかると、ビックリ驚く大革命。

時代が変れば話も変るとはいえ、古典的な物語をこんなふうに改作してしまっていいものかどうか、ちょっぴり気になりますが―。表題作など、愉しい笑いと痛烈な風刺で別世界へご案内するショート・ショート33編。 

 またスパイスという言葉を使ってしまった。

同じ単語を立て続けに使うのはあまり歓迎されないことなのだが、仕方ない。星新一のクセになる辛さは「スパイス」だとしか言いようがないのだ。

 

星新一の中でも一風変わった短編集だ。その名の通り、イソップ等の寓話をアレンジした作品が多い。

内容としては、笑ってしまうくらいしょうもない。まさに子供がイソップというおもちゃに飽きて、イソップを勝手に捻って遊び始めた、そんな感じだ。

ただ、やはりその「しょうもなさ」はおもしろさと紙一重だ。我が子の話にいつも親が笑わされ感心されるように、その小さなアレンジは大きな楽しさを生み出す

 

そして、その子供のような着眼点が素晴らしすぎるのだ。

アレンジを加える箇所がまた星新一らしい。イソップではNGとされるようなブラックが盛りだくさんだ。

「本当は駄目だけど、小説の中だしねw」と言わせちゃうような痛快な悪さ。ちょっとくらいワルの方が人気のあった学生時代を彷彿とさせる。これぞ僕たちが望んでいた寓話だと言えるだろう。

 

因果応報のむず痒さを吹き飛ばす。教師や親にさんざん聞かされたイソップの教訓に反乱を起こす。これはイソップ界のテロである。

33話じゃ物足りない。もっと読ませろ!

 

・・・ワルな感じをもっと味わいたければ、「悪魔のいる天国」もおすすめだ。

ブラックな話が多めの、全36話が収録されている。

 

以上。もう少し紹介したかったが、僕の語彙力では似たような説明になってしまいそうなので、ここでお終いにする。

そうなのだ。星新一はいつも同じスタイルで大量の作品を生み出す。なぜこんなにも多様性豊かな話を書きあげられるのか不思議だ。

ホームランしか打てないバッターに実況者が困ってしまうように、僕も星新一のおもしろさを説明するのに困ってしまうのだ。全ての作品が共通した世界の中にあるような感覚になって、結局星新一の素晴らしさをまとめるだけになってしまう。

 

…これは何故なのだろうか。星新一はもしかすると、作品を一から創り上げているのではなくて、自分の頭にある世界をただ描いているだけなのかもしれない。

 

おわり。

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